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リトル・ミス・サンシャイン

2006年 アメリカ 100分

88点。

終始はらはらさせられるオフビートなコメディ。

社会風刺も効いていて良い。

終わり方がちょっと尻切れトンボ的な感じがした。

もう少し続きを観ていたかったような。

www.youtube.com

リトル・ミス・サンシャイン - Wikipedia

「リトル・ミス・サンシャイン」 - 映画評論家町山智浩アメリカ日記

週刊誌に記載された町山智浩さんの解説が抜粋されていたあるブログ(

ラジオ映画館:『リトル・ミス・サンシャイン』

)からの抜粋

 夏、アメリカの映画館は莫大な予算をかけたアクション大作に席巻される。
X-MEN:ファイナルディシジョン』の製作費は2億1千万ドル→アメリカでのチケット売り上げは2億3千万ドル。
『スーパーマン リターンズ』の製作費は2億6千万ドル→アメリカでのチケットの売り上げは1億9千万ドル。
こんな超大作が派手に宣伝されて全米3000館以上で一斉公開される。
 ところが、収支を見ると実に効率が悪い。売り上げの半分が劇場の取り分だから大赤字だ。まあ、海外とDVDの売り上げで回収するだろうが。

 こんな大作の夏に『リトル・ミス・サンシャイン』という映画がこっそりと公開された。製作費たった800万ドルのインディペンデント映画で、有名なスターは一人も出ていない。にもかかわらず、5千万ドルも売り上げるヒットになり、3ヶ月もロングランを続けている。
製作費800万ドル→売り上げ5千万ドル。
 主人公はニューメキシコに住む7歳の少女の少女オリーヴちゃん。夢にまで見た美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」に出場する。といってもこの映画はR指定。子供は観ちゃいけない。彼女の家族が尋常じゃないから。
 おじいちゃんは「もっとたくさんの女とファックしたかった」とグチってばかりで、ヘロインを吸いまくる不良老人。高校生のお兄ちゃんはニーチェの超人思想にかぶれて他人を見下して誰とも口をきかない引きこもり。叔父さんはゲイの彼氏にふられて自殺未遂。パパは金持ちになる方法を教えるセミナーの講師で「人間には2種類しかいない。勝者と敗者だ」が口癖だが、生徒は集まらず本人はビンボー。こんな家族を抱えてママはノイローゼ気味。
 コンテスト会場はカリフォルニアだが、一家は飛行機代がないのでオンボロのヴァンで荒野をひた走る。ヴァンはクラッチがイカれているので発進するときは家族6人でヨイショと押しがけ。コンテストに出たところで、ジョンベネちゃんのように歌や踊りのコーチを受けていないおデブのオリーヴに勝ち目はない。
 こんな負け犬ファミリーの旅を、なぜアメリカ人は見たがったのか?
 まず、30歳以上の大人が観られる映画がこれしかなかった。夏休み映画はスーパーヒーローが主人公のアメコミや遊園地のライドの映画化(『パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト』)、つまり子供だましの見世物ばかりだ。

 現実的な映画もこれしかなかった。ハリウッドの大作は、豪華なセットや美男美女のスターたちが「夢」を見せてくれる。映画だけじゃなく、テレビや雑誌も絶え間なくアメリカン・ドリームを撒き散らす。美しくなれる、金持ちになれる、ヒーローになれる。それに洗脳されたのがオリーヴちゃん一家だ。でも、惨めな旅の途中でおにいちゃんは現実に気づいて叫ぶ。
「アメリカそのものがミスコンなんだ。そして僕らはみんな敗者だ。!」
 その言葉は観客の心をもえぐる。
 それでもアメリカ人がこの映画を愛したのは、バラバラの家族が力を合わせてオンボロのヴァンを押す姿が開拓時代の幌馬車を彷彿とさせたからではないか。貧しい移民たちは西にあるといわれる約束の地を目指した。道なき荒野で幌馬車はしばしば立ち往生し、家族は力を合わせて押した。それは何度裏切られても夢を信じ続けるアメリカの庶民の原像なのだ。
(『週刊現代』2006年10月21日号 アメリカで味噌汁 第14回「アメリカそのものがミスコンなんだ」より抜粋、一部改変)